コロナ禍でも小規模認可保育園や企業主導型保育園はぞくぞくと開園しています。
日常の保育の中で、困ったことやどのように対応したかをご紹介。子ども達はたくましく成長しているようです。
元朝日新聞の記者で2017年から小規模認可保育園を開園した人が保育の現場から生の声を届けるコラムが人気を呼んでいます。
2020年4月に新規開園した2園は休園スタート・・・
2020年4月にやっと開園にこぎつけた2園は、緊急事態宣言の影響から、最初の2ヶ月は休園に追い込まれました。
園児も保育士も初対面なのにもかかわらず、顔を合わせて話をすることができません。
職員同士はLINEやオンライン会議で対話する機会を設け、コミュニケーションを図ったそうです。
子ども達に送付する園だよりは、保育士が作った折り紙を同封したりなど工夫をし、親しみを持ってもらえるようにしたそうです。
また、「おやつの会」を設けて、短時間でも一緒に過ごす時間を作ったとのことです。
マウスシールドを付けてみるも、現場に合わず断念
保育中はマスクを付けている保育士。園児は0~2歳時のため付けていません。
そのため、食事の時に「もぐもぐごっくん」が見せらません。
透明なマウスシールドを付けたら口元を見せられるのではと、一時期使ってみたそうです。
しかし、子どもを抱っこしたら当たってしまうし、子ども達は面白がって取ろうとします、しかも壊れやすい構造。メディアでも飛沫防止の効力を疑問視する報道がされるようになったため、使われなくなってしまったそうです。
保育園では感染症は防ぎようがないのが現実
保育園では大人同士のようにマスクをしたりソーシャルディスタンスを取ったりできません。保育士と園児は密着保育が基本。子どもの情緒発達の観点から、抱っこは大切な「ふれあい」なのです。
毎日検温し、手指の消毒もこまめに行い、共有部分やおもちゃなども消毒は欠かしません。
しかし、乳幼児は口の感覚機能の方が手よりも先に発達するため、手にしたものを何でも口に運びます。これはこれで大切な成長過程。
食事の介助も必要ですし、ヨダレもダラダラ。おむつ替えもあるし、おもらしや嘔吐物の処理もあります。
現実的に保育園で感染症を防ぐのはとても困難なことなのです。
一時期、「みんなで免疫力を高めましょう」を合言葉にしょうと考えたそうですが、コロナ禍で保育士の負担は増すばかり。もっと体を休ませられたら、免疫力も上がるのかもしれません。
おままごとではマスクの近くに「あーん」をしてくれる子ども達
当初はマスクで保育士の顔が隠れて表情が読み取れないことへの影響をとても心配したそうです。
でも、子ども達はおままごとで、保育士の口元に食べ物を運んでくれます。マスクの下に口があって、そこで食べることをきちんと分かっています。
また、初対面の時からマスクをしている顔しか知らないのに、ちゃんと保育士を判別しています。また保育士の喜怒哀楽も理解してくれています。
コロナ禍でも子ども達のこのような成長はとてもうれしいものです。
こじんまりと「進級祝い&卒園祝い」はできました!
小中高校でも同様ですが、行事が次々に中止に追い込まれました。子どもにとっても保護者にとってもとても残念なことです。
ただ、節目として進級祝いと卒園祝いはささやかに執り行うことができたそうです。
2021年3月20日(土)朝日新聞朝刊より出典