以前から保育士の負担が重く、待遇改善を求める声は多くありました。このコロナ禍でさらに負担は増えています。具体的にどんな負担が増えたのでしょうか?
「横浜保育問題協議会」が行なったアンケート
横浜市の保育関係者で作る任意団体「横浜保育問題協議会」は2020年11月、新型コロナの対応の現状を各保育園に聞きアンケートを行いました。
アンケートは横浜市内にある694カ所の民間認可保育所に配布し、204カ所から回答を得られました。
その結果、保育士が負担が大幅に増えたと感じる点は大きく2点あったことが分かりました。
①子どもの受け渡し体制の変化
このコロナ禍で密を避けるために、朝夕の送迎時、子どもを受け渡す場所を室内から玄関に変更した施設が多くあることが分かりました。
また、コロナ禍の前は保護者が保育室に入って昼寝のための布団カバーの付け替えや、タオル・着替えの準備を行っていましたが、それらを全て保育士が行うように変更した施設も多くあることが分かりました。
そのため、これらの作業に大幅に時間がとられ、1~2時間増えた、と答えた施設が全体の約4割にものぼりました。
保護者も一度に作業ができず、寒空の中順番待ちをしている園もあるようです。
②おもちゃなどの消毒作業
子どもが昼寝をしている間、呼吸のチェックや書類の書き込み・作成などの作業のほかに、おもちゃの消毒作業をしている園も多いことが分かりました。保育士は昼食や休憩の時間を削って対応していることも明らかになりました。
朝・夕・昼寝の時間の業務負担が特に増えた
実際に保育園の園長からは、現場の事例として、朝と夕方が最も人出が足りない、という切実な声が上がりました。
昼寝の間もゆっくり食事も休憩もできない現状も浮き彫りになりました。
「横浜保育問題協議会」は、アンケートとは別に、横浜市に対して保育士の処遇改善を訴える要望書を提出したとのことです。
協会の会長である辻村久江さんは、子ども一人ひとりに丁寧に接することが困難になっていると訴えています。慢性的な人手不足は以前からありましたが、少しでも保育士が子どもたちに笑顔で向きあえるように、処遇の改善を訴えていきたいと話しています。
2020年12月24日(木)朝日新聞朝刊より出典