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小児がん 治癒後の合併症を予防する取り組み

2020.03.13 |

幼少の頃に受けたがんの治療について、大人になってから合併症が現われる「晩期合併症」があることが分かってきました。
予防や早期発見に繋げるため、全国の拠点病院で「長期フォローアップ外来」が始まりました。
保育士を目指すのであれば、基本知識として知っておきましょう。

小児がんの治癒経験者は数万人、治ってから大事

幼少の頃にがんを治療した経験のある20~39歳の若年成人は500~1000人に1人いるとされています。
厚生労働省の調査によると、2016年の1年間に小児がんと診断された0~14歳の子供は2144人もいたとのこと。
アメリカの調査では、小児がんの5年生存率は2015年には85%を超えたとのこと。治癒をした後に長い人生を歩むことになます。

ただ、小児がんは治ってからがとても大切とのこと。
厚生労働省の研究班が、小児がん経験者668人の医師に調査したところ、治癒から平均して13年後に41%に晩期の合併症がみられたとのこと。またそのうちの37%は複数の症状があったとのことです。多いのは内分泌障害、骨や筋肉の症状でした。
小児がんは治ってからがとても大切で、医療従事者が長期に関りながらフォローし、自身も自分の健康管理をしていくことが大切です。

昔はがんは本人に知らされなかった?自覚がないことも

国は2017年度から始めた「第3期がん対策推進基本計画」の中で、小児がん患者の長期フォローアップの推進を盛り込みました。2019年3月には、全国で指定された15か所の拠点病院で、長期フォローアップの体制が作られました。
今ではがんにかかったら本人にきちんと告知しますが、本人に知らせないことが一般的だった時代もありました。
また、2002年のアメリカの研究で、小児がん経験者の19%は、病名は把握していたけれども、どんな治療をしたのかは知らなかったとのこと。
また、がんにかかっていたこと自体を知らされていないケースもあるうえ、現代よりも強い治療を行っていたことも想定されます。
通院を続けていても、進級・進学・引越しなどで通院が途絶えてしまうこともあります。
フォローアップ外来は、そういう人たちのために、合併症が重症化する前に対策を取ろう、という取り組みです。

発達中の脳に影響が起きることもある

小児がんの治療の影響で、発達中の脳に影響が出ることもあります。認知機能に障害が起きることもあります。
現実に、小児がんを経験した子どもは、一時的な記憶や文章の読み取りに障害があったり、他の人よりも学習に時間がかかったりするようです。
学校・スクールカウンセラー・就職先が病院と連携し、サポートしていく必要があります。

2020年2月19日(水)朝日新聞朝刊より出典