目指せ保育士!保育スクールパーフェクトガイド

目指せ保育士!保育スクールパーフェクトガイド menu

海外では9歳以上は1回が一般的。インフルエンザの予防接種

2020.11.13 |

今シーズンは新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されているインフルエンザ。日本では子どものワクチン接種は2回という認識ですが、海外では9歳以上は1回でOK、さらに9歳未満でも前年度に接種していれば1回でOKとしています。
なぜ日本だけが特別なルールになったのでしょうか。

既に予約でいっぱい。インフルエンザの予防接種

厚生労働省は、今シーズンのワクチン供給量を3178万本とし、過去最大量を確保しています。しかし、「接種を受けようと医療機関に問い合わせたが、既に予約で埋まっていた」という声を聞きます。

予防接種推進専門家会議は8月、今シーズンはインフルエンザのワクチン不足が懸念されるため、子どもの接種回数を減らし、より多くの子どもがワクチン接種を受けられるような対応を厚生労働省に求めました。
しかし、接種回数を1回にするには、ワクチンメーカーが臨床試験結果などの結果を示し、法に基づく変更申請をする必要があり、現時点でこのような動きは見られない、とのことです。

海外では9歳以上は1回、9歳未満でも前年度に接種していれば1回

WHO(世界保健機構)は9歳以上は1回を推奨しています。また、CDC(米疾病対策センター)も同じく9歳以上は1回とし、9歳未満でも前年度にワクチンを接種していれば1回でいい、としています。
13歳未満は必ず2回接種するというのは日本だけの独自ルールで、外国では例がないそうです。

昔、副反応で熱を出す子どもが多かったため、2回になった

新潟大学小児科の斎藤昭彦教授によると、昔は副反応で発熱する子どもが多く、1回に接種する量を減らし2回接種することで、より長く効果を保つようにしたとのことです。
2011年にHWOが推奨する量に基づいて、日本では
・3歳未満:1回0.25mlを2回接種
・3歳以上:1回0.5mlを2回接種
となったそうです。

「1回接種でじゅうぶんな抗体ができる」という専門家は多いが・・・

厚生労働省のワクチン疫学研究班の代表者、広田良夫さんは、「初めて接種する場合は2回、それ以降のシーズンは1回で感染を防げる抗体ができるため、
1回でも2回でも効果に大きな差はない」と話しています。
また、川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「型によって多少の差はあるものの、1回接種と2回接種の差はわずか。自分の孫には1回接種としている」とも話しています。
斎藤教授は国や学会に「9歳以上は前年度に接種歴があってもなくても1回、生後6ヶ月~9歳未満は、前年度に接種している場合は1回、接種していない場合は2回」と提案しているとのことです。

その医療機関の医師の裁量で判断してOKだが、説明が難しいとも

医師の裁量権が認められているため、回数は医師が判断して良いことになっています。ですから現場で1回とすることは問題ないとしています。
しかし、「コロナでワクチンが足りないから1回にさせられたのでは」と保護者は疑念を抱くかもしれません。
またもし感染した場合、「1回しか接種していないから感染したのでは」と疑うかもしれません。

医師が現場で接種を1回で済ませる場合、保護者が納得するまで十分説明できることが重要としていますが、なかなか難しい面もあるでしょう。

2020年10月28日(水)朝日新聞朝刊より出典