風疹は、妊娠中の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんの心臓や目に障害が出る恐れがあるばかりか、命に関わることもあります。
現在国や自治体は、免疫があるかどうか調べる抗体検査や、ワクチン接種を無料で受けられるクーポンを配布したりしています。
なぜ41歳~58歳の男性なのか?
風疹の予防接種は法律で定められていますが、これまで何度もルールが変わってきた歴史があります。
この年齢の男性は子どもの頃、行政による予防接種が一度も受けられないまま大人になった世代です。当時は女子中学生しかワクチンの接種をしていませんでした。
現在は男女とも小学校入学までに2回ワクチンを接種できる仕組みになっています。
最近は父親も積極的に保育園の送迎を行っており、他のお子さんと接触したり、二人目、三人目を望んでいる女性と接触したりする可能性もあります。
周りの人たちに迷惑をかけないためにも、抗体検査や予防接種が急がれています。保育園では父親に声をかけてみてもいいのではないでしょうか。
感染力が強い風疹
風疹は非常に感染力が強いとされており、1人が感染すると、周りの5~7人に広がるとされています。
風疹に感染すると、熱や発疹が出ます。咳などの飛沫感染が多いとされています。
男性を含め、より多くの人に予防接種を受けてもらわなければなりません。
予防接種を一回受けただけでは十分に免疫ができない人もいるため、現在は2回接種するようになっています。
女性でも1回しか接種していない年代があるので、「自分は年齢的にもう妊娠しない」と思っても、他の若い人に迷惑をかけないためにも、接種をすることが望まれます。
最近でも大規模な流行があったばかり
2013年には、全国で14,000人を超える大規模な流行がありました。2018年、19年にも感染者は2,000人を超えています。
このまま免疫を持たない人がいれば、再び大流行が起きる可能性があります。
国の調査だと、2020年3月末時点で、対象の男性にあたる約330万人が予防接種をすると見込んでいましたが、実際に受けたのは143万人にとどまりました。
今現在、新型コロナウイルスの予防も重なって、なかなか進んでいない現状があります。
企業で会社の健康診断の時に抗体を調べて予防接種をする仕組みを整えるなどし、検査や接種がしやすい環境を作ることも大切です。
2020年9月13日(日)朝日新聞朝刊より出典