働く場所が自宅か外かで、保育園の入園選考で基準に差があることは一般的に知られています。
しかしこのコロナ禍で在宅勤務者が増え、差を付けることを見直す動きが出てきています。
「自宅で働いていると保育園の入園選考で不利になるよ・・・」
在宅で働くフリーランスを中心に、是正を訴える声が多くあった選考基準。このコロナ禍で在宅ワークが推奨され、自宅で子どもを見ながら仕事をする難しさが改めて社会で認識され共感されることとなりました。
在宅で働く保護者は、通勤時間がないまたは短いということで、外で働く保護者よりも優先度を一段階低く設定する自治体が多かったとのことです。
フリーランスのデザイナーやプログラマーなど、在宅勤務をする人に対し「育児も兼ねられる」との認識があったとのことです。
政府は多様な働き方を推進してきたのに、多様な働き方を選択する人が保育園の入園基準で低く設定されることに批判や不満が多く出ていました。
2017年、厚生労働省は働く場所がどこであろうと、選考基準に差を付けないように通知していました。しかしなかなか思うように進まなかったとのこと。
このコロナ禍を経験して在宅ワークがより身近なものになりました。そして、選考基準が見直される動きがやっと加速してきたようです。
フリーランスで働く人は「育児は仕事の片手間でできるものではないと、当たり前のことを長年訴えてきた。ここでようやく社会で共感されるようになった」と語っています。
それでもまだ選考基準は実態を反映していない?
コロナ禍で企業は副業を認めたり、週休3日を選択できるようにしたりと、さらに多様な働き方を推進する動きが出てきています。
みずほファイナンシャルグループは、週休3日、4日なども導入すると発表しています。
ただ現実に働く日数が減ると、保育園への入園選考で不利になってしまいます。
さらに、夜勤をこなす人は「月に何日勤務するか」という基準になかなか当てはまらない働き方であり、このような人も入園選考で不利になってしまいます。
月に何時間と基準を見直す自治体も出てきました。
本来は選考されること自体おかしいことなのでは?
そもそもの問題は保育の定員数が全く足りていないこと。
・働く場所が自宅か外か
・月に何日働くか
・親と同居しているか
保護者にこれらの理由をたずねて、点数を付けて選考していること自体がおかしいことだと「保育園を考える親の会」代表の普光院さんは語っています。
どんな働き方をしていても、保育を望む保護者なら誰でも提供されるような世の中になってほしいですね。
2020年11月21日(土)朝日新聞朝刊より出典