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精神疾患を持つ親とその子どもたちへ。ドイツの児童書「悲しいけど、青空の日」

2020.08.28 |

将来保育士となって働くことを夢見ている皆さん。保育園にはさまざまな家庭の事情があるお子さんが大勢通っています。
親が障害を持っていたり、病気に苦しんでいる家庭もたくさんあります。そんな子どもたちに寄り添って見守りながら保育をすることになります。

「悲しいけど、青空の日」は、ママが精神疾患を抱えている女の子の物語

主人公の女の子、モナは9歳で母親と二人暮らし。ママが精神疾患を抱えており、体調の悪い日は横になって過ごしています。
モナはそんな母親の代わりに片づけや食事の準備をしています。
モナは母親が寝込んでいると悲しい気持ちになります。「ママが不調なのは自分のせいかな」とも思ってしまいます。
そんな中、学校で精神疾患について学びます。モナはさまざまな人との出会いを通じて、病気への理解へを深めていきます。

「悲しいけど、青空の日」Youtubeでは朗読動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=m-JaWohaUsQ

「ママが調子が悪いのはあなたのせいじゃないよ」と語りかける

第一章では、ぬいぐるみと過ごす日々やママが精神疾患であることを先生に相談する内容。第二章では、精神疾患について、子どもでも理解しやすい言葉で説明されています。第三章では、大人向けの解説。
同じ境遇にいる子どもたちへのメッセージや相談先も盛り込んだ手引書となっています。
「ママの不調はあなたのせいではない、みんなと同じように楽しく過ごして」と語りかけています。

翻訳した田野中さんは保健師であり大学の准教授

翻訳した田野中恭子さんは、保健師の資格を持ち、佛教大学の准教授を務めています。
2012年ごろから、精神疾患の親を持つ子どもたちの集いに多く参加してきました。
病気に苦しむ親を気遣う子ども達は、みんな周りの友達や先生に隠しながら、家事をこなしています。一人で抱え込みながらなんとか日常生活を送っている様子を知ったそうです。
そんななか、この原著を読み、物語性に強く共感し、翻訳したいと考えました。

出版社には採算が合わないと断られ・・・クラウドファンティングで資金を調達!

出版社に問い合わせても採算が合わないと断られ、月日が過ぎていきました。
そんな時にさいたま市のNPO法人「ぷるすあるは https://pulusualuha.or.jp/ 」のサポートを受け、クラウドファンティングを呼び掛けることに。こうして目標額の250万円を集め、出版にこぎつけました。

実態調査がまだ進んでいない日本

日本では、精神疾患を持つ親の子どもについて実態調査がなかなか進んでいないようです。ドイツの人口は日本の2/3ですが、該当する子どもは約50万人いるともされています。
最近ではそんな子どもたちが大人になって、SNSなどを使って交流する場を設けているそうです。
田野中さんは、「誰かに相談して元気になれる時間を作ってほしい、周りの大人たちは受け止めて欲しい」と語っています。

2020年8月22日(土)朝日新聞朝刊より出典