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増えている離婚時の父親による子どもの連れ去り?

2020.10.16 |

離婚後の子どもの養育や面談について改めて議論がされ始めました。結婚生活が破綻した夫婦の子どもの養育をめぐって、法務省も参加する研究会が議論を深めています。
子どもにとって最も望ましい方法は何なのか、子どもの目線で改めて考える必要があるのではと感じます。
保育園には一人親家庭の子どもが多く通園しています。中には悩んでいる父母がいるかもしれません。

最近増えている「子どもと面会できない母親」

離婚した夫婦の子どもが、片方に引き取られた場合、もう片方になかなか面会ができなかったり、養育費が適正に払われなかったりする問題は以前からあります。
「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(通称親子ネット、会員512人)」が9月半ばに都内で記者会見を開きました。これには離婚して子どもと引き離された母親23人が参加しました。
日本では1960年半ばから母親が親権を持つ離婚が増えてきました。今でも全体の9割をしめます。
親子ネットは、以前は子どもと面談できない父親の会員が主流でしたが、最近は母親の会員が増えており、全体の3割を占めるまでになったとのことです。
親子ネットが行ったアンケートによると、協力した母親のうち自分が主な養育者だった人は90%。夫から暴力を受けていた人は76%もいました。
家庭裁判所の手続きなどで、子どもの引き渡しを求めたのは42人もおり、その中で本当に引き渡されたのはわずかに3人ということです。

子どもを手元に確保さえすれば有利になる?

親子ネットの武田代表は、「子どもを手元に確保すれば、監護の継続性
から親権や監護権を獲得するうえで有利になる、という情報が広く知れ渡るようになり、父親による子どもの連れ去りが増えたのでは」と話しています。
親権争いのために子どもを連れ去ることは、精神的な虐待にあたるのではとも感じます。
日本の離婚では、親権者を決めて提出するだけの協議離婚が多く、全体の9割を占めています。
民法では、離婚する際には父母との面談や交流、養育費の分担を協議する、と定められてはいますが、強制力はなく、家庭裁判所の調停や審判できちんと決める人はわずかしかいないそうです。

韓国では面談日程の書面提出や親への教育が義務化

お隣の韓国では一歩進んだ制度が進み始めました。2008年から、親子が面談する日程を書面にし、家庭法院に提出することが義務化されました。
また、子どもの心に寄り添うために親が教育を受けることも義務化。離婚相談も家庭法院で受けられるようになりました。

日本では話し合いができていないケースが多い

日本の協議離婚では、話し合いは当事者にゆだねられており、実際にはきちんと話し合われないことも多いです。
また、子どもが受ける精神的ダメージも広く協議されていません。
「離婚が子どもの心理に与える影響など基本的な情報を父母に提供して、各自治体が離婚相談に応じる仕組みができれば理想」と立命館大学の二宮周平教授は話しています。
親が離婚しても子どもの心理的負担がなるべく少なくなるように最善の方法を取ってほしいです。

2020年10月7日(水)朝日新聞朝刊より出典