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子どものASD(自閉スペクトラム症)は父親の高齢化が要因の一つか

2021.03.19 |

以前から女性は35歳を過ぎると高齢出産と扱われ、出産や胎児にリスクが増えることが分かっています。
今回、マウス実験ですが、男性も高齢になると精子のDNAが変化し、胎児の脳の発達に影響がある可能性が高いことがわかってきました。
これから保育園ではASDの子どもを受け入れる施設が増えるでしょう。ASDの知識を増やすのは大切なことです。

父親が高齢化するにしたがって増えるASDの子ども

ASDとは自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群など、脳の神経発達症を指します。
以前から子どもの脳神経の発達については父親の影響が強いと言われてきましたが、今回それがマウス実験でより明らかになりました。

今回、東北大学の大隈典子教授(神経発生学)らが、高齢のオスから生まれたマウスと若いオスから生まれたマウスを比較しました。
その結果、高齢のオスから生まれたマウスはいくつかの特徴がみらました。

○自閉傾向のあるモデルマウスと似た鳴き方をする

高齢のオスから生まれたマウスは、泣く頻度が減り、単純な鳴き方が増えたとのことです。
これは、自閉傾向が起こるようにしたモデルマウスとに似た鳴き方だそうです。

○知覚・記憶に関わる一部の大脳皮質が薄い

若いオスから生まれたマウスに比べ、高齢の親から生まれたマウスは、知覚・記憶に関わる一部の大脳皮質が薄かったとのことです。これは神経細胞の減少を意味し、このために自閉症のような症状が出たと考えられる、とのことです。

正常な脳神経の発達がされていない可能性

若いオスの精子と高齢のオスの精子、全てをDNA解析した結果、高齢のオスの精子の中の神経の発達に関わるDNAの一部に特徴的な変化が見られたとのことです。
さらに、高齢のオスから生まれたマウスの脳を解析したところ、精子で変化が起きていたDNAの中にあるとみられる遺伝子が多く現れていたとのことです。この遺伝子のせいで、正常な脳の発達がされていない可能性があるとのことです。

男性も高齢で子どもを授かることはリスクが高い!

今まで女性の高齢出産はよく話題に上がっていましたし、胎児に染色体異常が起きる割合が増えることは広く知られています。
しかしこの実験では、高齢の男性が子どもを授かると、子どもがASDになる確率が上がることを示しているのではないかと考えられます。

この100年余りで医療は目覚ましい発達をとげていますが、ヒトの生殖機能に関しては、こちらの都合に合わせて進化してくれるわけではない、ということです。やはりヒトは20代30代という若いうちに妊娠・出産することが適しているのです。

最近は40歳を超えて初産を迎える芸能人のニュースをよく耳にします。だからといって「自分も授かれる」と安易に考えないことです。

若くして子どもを持つことは、経済的に厳しいですし、キャリアに影響があるかもしれません。しかし子どもの発達のことを考えると、若いうちに子どもを持つことが最も適しています。
ヒトが400万年かけて進化してきたことは、そう簡単には変えられないのです。

2021年2月10日(水)朝日新聞朝刊より出典