日々子どもたちや保護者と奮闘する保育士や幼稚園教論。3Kなどと揶揄されることも多いですが、やりがいや誇りをもって従事している人はたくさんいます。
しかし、社会から評価されていると感じている割合は、他の国よりもかなり低いことがわかりました。
これは経済協力開発機構(OECD)が2018年に調査して2019年10月に公表したもの。いったいどんな背景が隠れているのでしょうか?
経済協力開発機構(OECD)が9か国に「保育従事者調査」を行った
今回この調査は2018年に初めて行われました。調査した国は、日本・イスラエル・ノルウェー・トルコ・韓国・チリ・ドイツ・アイスランド・デンマークの9つ。
日本では3歳から5歳の子どもに関わっている保育士・幼稚園教論など1616人と、園長職に就く216人に調査しました。
「社会から」「子どもから」「保護者から」の評価は調査国の中で全て最低
日本の保育士自身が、社会から・子どもから・保護者からどれくらい評価されているか感じるかについて、他の国と比べて3つとも最低の割合でした。特に社会から評価されていると感じる人は3割にとどまりました。
これは何年も前から言われていることですが、他の職種に比べて月給が10万円近く安く、低い賃金が要因になっていることは明らかです。
また、子どもから評価されていると感じる割合は7割程度、保護者から評価されていると感じる割合は6割程度と、諸外国に倉部て全て低い数字が出ています。
保育士という仕事にやりがいを持てていない人が多いことがうかがえました。
仕事情のストレスを最も感じるのは財政的な支援がないこと
仕事で何に最もストレスを感じるかを尋ねたところ、一番多かったのが財政的な支援が少ないこと。次に多かったのが事務作業の多さでした。もちろん人手不足による多忙さもあるでしょう。また園という狭い密室の世界なので、人間関係でつまづいてしまったらいづらくなってしまうこともあるかもしれません。
若い保育士が多く、定着しづらい日本
日本の場合、回答した保育者の年代は30歳以下が多かったとのこと。ただ、退職や転職も多く、人手出不足や待遇の悪さが、働きづらさに影響しているのではとのことです。人間関係の構築がストレスに感じることもあるでしょう。
今回の調査は認可保育園・幼稚園・認定こども園が対象でしたが、認可外保育施設はさらに厳しい労働環境に置かれていることが想像されます。
これから保育士がもっとやりがいを持て、働き続けたいと思えるように、キャリアアップが望めたり専門的な知識が評価されたりするしくみが必要でしょう。
出典:2019年11月22日(金)朝日新聞朝刊