以前より各地で保育士の退職や休職が相次ぎ、保育施設が安定して運営できなくなったということがありました。
国や自治体がさまざまな補助金を用意して保育の受け皿を作ったとしても、保育現場で実際に子どもたちと接する保育士が運営側から守られ、安心して働ける環境が整っていなければこういった事態になるということです。
運営側が利益に走ると保育士は離れていく
現在国の方針で子どもたちをたくさんあずかることが、保育士の待遇改善よりも優先されています。
原則0〜2歳児を対象とした小規模保育園で3歳以上を運営側の裁量で受けいられるようにするよう自治体に通知していますが、これも3歳以上を受け入れる場合は現場で成長・発達に影響が無いように配慮や工夫をするようにと伝えているのです。
つまり、自治体と運営側、保護者と子どもたちの負担は軽減されるけれど、そのための負担は保育士が負うようにという通達と言っても過言ではないでしょう。
24年度からの3年間で力を入れるとされている「異次元の少子化対策」による保育士の配置基準も、制度自体の変更はなく、保育士を多く配置できるように運営側へ補助金を増やすという対応。
保育士の待遇がよくなるかどうかは運営側に左右されているのです。
そのため運営側が保育士を大切にしようという運営方針でなければ保育士は離れていくでしょう。
保護者と子どもたちのためだけでなく保育士のために
都内のある認可保育園に在籍する保育士13人のうち10人が休むという連絡があったと管轄の自治体に園の運営側から連絡がありました。
7割以上が出席しないとう事態に臨時休園することに。
保護者への迷惑はもちろん、子どもたちの不安にもつながる状況に、自治体は運営側に確認をすることになりました。
臨時休園の日は対応が間に合わなかったものの、その後は運営法人が別の保育士を派遣したり、休んでいた保育士の一部が職場復帰したりで翌日から再開され、一旦は事なきを得ることができたのです。
現在も保育士の数は不足しており、保護者に可能な限り家庭保育の協力を呼びかけているということでした。
自治体ではこの事態を重く受け止め、運営法人から理由などを確認しています。
運営法人側は「職員との対話をしながらお子様、保護者の皆さまにご迷惑がかからないよう最大限対応していきたい」と話しており、今後改善されれば入職する保育士も増えるでしょう。
全国各地で保育士が一斉に退職するというニュースが伝えられています。
運営側は保育士が安心して働ける環境を用意する必要があるのです。