早産で生まれた赤ちゃん、また満期産でも母親が病気療養中のため母乳をあげあれない赤ちゃん。。。そんな赤ちゃんでも他のお母さんから提供された母乳を飲んでもらおうと、昭和大学病院小児科が「母乳バンク」を設立しました。
しかし5年たった今、まだ国内一か所にとどまっています。
母乳バンクとは?
上記のような理由で、生まれたばかりの赤ちゃんに母乳があげられない場合、他の母親から提供されたドナーミルクを無料で提供します。家庭の経済状況にかかわらず、必要な赤ちゃんなら誰でも平等に提供されるように無料としています。
人工乳を与える病院が多いが・・・
病院では母乳を与えられない場合、人工乳を与えるところがほとんどです。しかし、早産の赤ちゃんは消化吸収器官が未発達。そのため、消化吸収がよく、免疫物質も含まれる母乳を与えることにとても意味があります。
☆早産の赤ちゃんへの母乳の効果
①消化吸収がやさしい
②乳頭分解酵素が活性化する
③未熟児網膜症や壊死性(えしせい)腸炎など重病を防ぐ
④神経系の発達を促す
満期産の赤ちゃんはある程度の消化吸収機能が備わっていますが、早産の赤ちゃんにはリスクが伴うこともあります。
また、早産で生まれた赤ちゃんのお母さんの母乳には、神経系の発達を促すDHAやタンパク質が多く含まれているとのこと。赤ちゃんと母親の体には様々なリスクから心身を守る術が備わっていることに感心させられます。
課題は・・・「費用の確保」
母乳バンクがなかなか広まらない背景には、やはり費用面で厳しい現実があります。低温殺菌設備や冷凍保存設備などの設備費に約500万円、検査費などの人件費に年間約400万円かかります。それだけの費用を工面するのは容易なことではありません。
母乳バンクへの登録の順序
①提供希望者の血液検査や問診
②母乳の細菌検査
③62.5℃で低温殺菌
④母乳の細菌検査
⑤マイナス30℃で冷凍保存。ただし保存は最長3ヵ月
不妊治療や高齢出産で増え続ける早産
不妊治療による多胎妊娠、高齢による出産などで、早産で生まれる赤ちゃんは増え続けていると言われています。ドナーミルクを必要とする赤ちゃんは年間4,000~5,000人はいるだろうと言われています。
2019年7月31日(水)朝日新聞より