文科省と厚生労働省などが全国の自治体に「安全管理の徹底」を求める通知を改めて出さなければならないほどに繰り返される子どもの置き去りの事故。
きっかけとなった福岡県の保育園で起きた送迎バスの置き去りで5歳の園児がなくなった事故ですがマニュアルが形骸化し、職員一人によるバスの送迎が常態化して事故につながったことが明らかになっています。
保育士がかかわる置き去り事故は園バスだけではありません。
お散歩での置き去り
保護者側からすると園バスでの置き去りはもちろんのこと、お散歩先の公園に子どもを置き去りなども「ありえないこと」です。
しかし、お散歩での置き去りは相次いで報告されています。
天候が悪くなったり、途中で怪我や具合が悪くなる子がいたり、けんかなどの子供同士のトラブルが起きたりと保育士は一瞬も気が抜けません。
これまでは置き去りにしてしまってもヒヤリハット案件でかわしてきたという保育士さんもいますが、それで終わってはいけません。
もしかしたら連れ去りにあったり、命の危険にあったりということが起きてしまったかもしれないということを忘れてはいけないのです。
お散歩は命がけの業務、といった意識は重く感じてしまうかもしれませんが、命の危険に直結する可能性があることなのです。
居場所の把握は保育の基本
子どもの安全を確保することは保育の基本です。
その基本が守れていないから置き去りが発生してしまうのです。
安心安全な場所にいるということの把握と点呼・必要な人数確認の徹底は基本中の基本でしょう。
保育士は子どもたちの安全を保障しながら育ちを支える、促す仕事です。
単に子どもの様子を見ておくだけでは務まりません。
置き去りにしてしまった場合、無事なのは幸運が重なっただけなのです。
置き去りが起きる原因
保育現場で置き去りが起きる事情とはどういったものがあるのでしょうか。
配置基準が少ない
1人の保育士が何人の子どもを見られるかを定めた国の配置基準は、厳しいことをご存知でしょうか。
受け皿を多くするためということもありますが、2歳児は保育士1人で6人、3歳児は1人で20人の子どもをみることが基準になっています。
お散歩中の20人の子どもを安全に見守るには、配置基準の倍の2人でも難しいのではないでしょうか。
書類作成や保護者対応、感染症対策の消毒など今の保育現場は保育士に求めることが多く、ただでさえ慢性的な人手不足の中既存の保育士の負担は重くなっています。
離職率が高い
保育現場は離職率が高いです。
子どもの命を預かる気が抜けない仕事であり、保護者が安心してくれる経験豊富な人材も集まりにくいのでしょう。
さまざまな事情が重なり、「置き去り」が起きてしまってもおかしくない状態になってしまうのではないでしょうか。