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近年増えている!乳幼児の「消化管アレルギー」に注意しよう

2021.03.05 |

近年、食物アレルギーの中には「消化管アレルギー」もあることが分かってきました。食後3時間くらいたって嘔吐を繰り返すなどの症状がでます。
知新生児や乳幼児の発症が多いですが、広く知られるよになったのは最近のため、見落とされるケースもあるようです。

即時型アレルギーと消化管アレルギーの違い

即時型アレルギー

〇発症する仕組み・・・体内の異物を攻撃するIgE抗体の過剰な反応が原因。食後1時間くらいで症状が出る。
〇症状・・・じんましん、くしゃみ、せきなど。まれにアナフィラキシーショック。
〇発症月齢・・・乳児~大人
〇発症割合・・・1歳児:7.6%、2歳児:6.7%、3歳児4.9%
〇原因となる食物・・・卵白・牛乳・小麦など

消化管アレルギー

〇発症する仕組み・・・IgEではなく、たんぱく質にたいして免疫細胞が過剰に反応して起こるが、詳しくは分かっていない。「食物たんぱく誘発胃腸炎」とも呼ばれる。
〇症状・・・食後3時間ほどで嘔吐を繰り返す。翌日~数日後に体重が減ったり血便が出たりする。アナフィラキシーはおきにくいが、嘔吐による脱水症状に注意。即時型と併発すこともある。
〇発症月齢・・・新生児・乳幼児。まれに成長後も。
〇発症割合・・・1歳半までに1.4%
〇原因となる食物・・・鶏卵、牛乳など

消化管アレルギーが疑われたら?

消化管アレルギーと診断されたら、原因となる食物を食べないように指導されます。
ほとんどは5歳までに治りますが、5%程度の子どもはその後も症状が残るといわれています。治ったかどうかは、原因となる食物を定期的に少量食べて反応を見て判断します。

東京都世田谷区の国立成育医療研究センターでは、2011年から2014年に全国約93,000人の赤ちゃんを調査しました。すると1歳半までに診断をうけた赤ちゃんんは0.5%だったとのことです。
しかし、保護者からの申告を合わせると1.4%になり、隠れた患者がいる可能性があることがわかりました。

診断が難しい消化管アレルギー

即時型アレルギーは食べ物の種類ごとにIgEの血液検査ができるため、診断がしやすいとのこと。一方で消化管アレルギーは原因がIgE抗体ではないため確立された検査方法もまだないため、診断が難しいとされています。

まずは症状からアレルギーを疑ってから他の病気を有無を調べ、原因となる食べ物の除去や、摂取によって起こる反応を見ながら、総合的に判断するそうです。
消化管アレルギーは報告が増えたのは2000年頃から。まだ知られていないため、医師でも見落とすことがあります。
症状が疑わしいなと感じたら、詳しい医師に相談することが大切です。

消化管アレルギーは卵黄でも発症する!

鶏卵によるアレルギーは卵白が一般的で、離乳食を作る時に卵黄のみを使うことがあります。しかし、消化管アレルギーは卵黄でも発症するという報告があるそうです。
国立病院機構相模原病院のチームは、卵白では症状が起こらない子どもでも、卵黄で症状が出ることがあると報告しました。

いずれにせよ、保育園で子どもにこのような症状が起こったら、消化管アレルギーのを疑いを考えた方がいいでしょう。

2021年2月17日(水)朝日新聞朝刊より出典