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保育所での虐待、通報が義務化されます

政府は3月7日、児童福祉に関する法律の一部を改正する案を内閣で決定しました。
この改正案には、保育士の確保や虐待の未然防止策が盛り込まれており、保育施設等において職員による虐待が疑われる事案を把握した場合には、関係機関への通報を義務づける内容が含まれています。
今期の国会での法案成立を目指しています。
(※2025年3月8日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

保育施設における虐待通報の義務化へ

これまで、児童養護施設などにおいては、職員が虐待の事実に気づいた際の通報義務が法律により明確に定められておりましたが、保育所にはそのような明文化された規定が存在しませんでした。
最近、保育現場での不適切な対応が社会問題として注目されていることを受けて、虐待を発見した場合の通報義務や、子どもの安全を守るための対応策を法令に追加する方針が示されています。

一時保護施設の登録制度と面会制限に関する法改正へ

児童相談所(児相)が虐待などの理由で子どもを一時的に保護する際に、子どもが過ごす委託施設について、新たに登録制度を導入することが決まりました。
これまで、児相が直接運営する一時保護所には一定の設備や運営に関する基準が設けられていましたが、委託先については明確な基準がありませんでした。
今回の改正により、児童養護施設や里親家庭、あるいは自治体により登録された施設に限って、委託が可能となります。
この変更により、保護環境の質を確保することが目的です。
加えて、児童虐待防止法も見直され、児相が一時保護した子どもについては、虐待が疑われる段階でも、子どもの心身に悪影響があると判断される場合には、保護者との面会や連絡を制限できるようになります。

地域限定保育士制度の導入と全国資格への移行措置

保育分野での人手不足を解消する取り組みとして、特定地域でのみ勤務可能な「地域限定保育士」の制度が新たに設けられます。
この制度では、登録後に3年が経過し、かつ1年以上の実務経験を積んだ方は、申請することで全国どこでも勤務可能な保育士資格に切り替えることが可能となります。
この仕組みにより、地域ごとの人材確保と将来的な全国的な人材の流動性を両立させることが目指されています。

難しい「虐待」と「しつけ」の線引き

「しつけ」と「虐待」の違いは、「子どものため」か「親の感情の発散」かという目的の違い、また「方法が適切かどうか」にあります。
例えば、「子どもに理解できる言葉で説明しているか」「子どもの人格や尊厳を傷つけていないか」「恐怖や苦痛で行動をコントロールしていないか」がポイント。冷静に見直すことが大切です。
もしも保育所で虐待を疑う場面に遭遇した場合は、勇気をもって通報してほしいものです。