保育や幼児教育の現場で近年よく耳にする「シュタイナー教育」。ヨーロッパを中心に広まり、日本でも幼稚園・保育園・子育て支援の分野で注目されています。
けれど、「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな教育？」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
シュタイナー教育の基本と、保育現場で役立つ視点についてわかりやすく解説します。
シュタイナー教育とは？
シュタイナー教育とは、オーストリアの思想家 ルドルフ・シュタイナー が提唱した教育法で、「子どもの心・体・頭（思考）が調和して育つこと」 を大切にしています。
特徴は、学力を早く伸ばすことよりも、人としての内側の成長を重視する点。
自由な表現活動、自然とのふれあい、生活のリズム…日常の体験を通して、子どもの個性をゆっくりと育てていく教育です。
シュタイナー教育の3つの特徴
1. 芸術活動を大切にしている
絵画、手仕事、音楽、リズム遊びなど、「感じる・表現する活動」がカリキュラムの中心です。
幼児期は思考よりも感覚（五感）が育つ時期。色・音・動き・手ざわりなど、多様な刺激を通して情緒の安定や創造性が育まれます。
2. リズムある生活を重視
1日の流れ・1週間の流れ・季節の流れを大切にし、子どもが「同じリズムの中で安心して過ごせる」ことを重視します。
例えば、
・朝の集い
・外遊び
・手仕事
・お話の時間
など、決まった順番で繰り返すことにより、心理的な安定につながるとされています。
3. 早期教育を行わない
読み書き計算を早く教えるのではなく、まずは心と体を育てることに重点を置きます。
幼児期は「遊び」「模倣」「芸術的な体験」を通して学ぶ時期とされ、年齢に応じた自然な発達を大切にします。
シュタイナー教育を支える考え方
● 子どもを「未完成の大人」ではなく「成長途中の個性」として尊重
大人が急がせるのではなく、子ども自身のペースを大切に。
● 模倣の力を信じる
幼児期は「教わる」より「見て、まねて、身につく」が基本。
保育士の姿勢やふるまいも教育の一部と考えられます。
● 自然素材を大切にする
木、羊毛、布など、温かく手ざわりの良い素材を多く使います。
プラスチックのおもちゃは最小限にし、感覚の育ちを重視します。
保育現場で活かせるポイント
① 季節のうつろいを活動に取り入れる
季節のテーブル、自然素材の工作、行事の歌など、自然へのまなざしはどの園でも応用できます。
② 繰り返しのリズムを大切に
毎日のルーティンを丁寧にすることで、子どもたちの心が落ち着きやすくなります。
③ 「やってみたい」を尊重
完成度を求めるのではなく、子ども自身が楽しんで表現できる環境づくりを意識しましょう。
④ ゆったりとした時間の流れを意識
詰め込みすぎず、子どもが没頭できる遊びの時間を確保すると、自然と主体性が育ちます。